多汗の治療では、最初は塩化アルミニウムなどを配合した制汗剤の使用が推奨されます。
それで効果が感じられない場合、ボトックス注射などの治療を検討することになります。
現在は制汗治療法の種類が増え、選択肢は多くなっています。
それぞれに特徴があるので、医療機関と十分相談し、理解を深めましょう。
ボトックス注射 わき汗対策に 費用や効果持続期間
■わき汗対策に有効
■効果持続期間 4~9ヵ月
■費用 3万円未満(3割負担の保険適用の場合)
■注射時に痛みがあり、両脇合わせて15分ほど
■自費治療の場合もあり
わきのボトックス治療は、2012年11月から保険が適用されています。
ボツリヌス菌が作るたんぱく質から精製された薬を注射することで、発汗を促す交感神経からの伝達物質をブロックします。
エクリン腺からの発汗を大幅に抑えますが、アポクリン腺には効果がありません。
イオントフォレーシス 手足の多汗症に 継続治療が必要
■手足の多汗症に有効
■継続した治療が必要
■費用 1回600円前後(3割負担の保険適用の場合)
多汗症の部位を水道水に浸し、弱い電流を流す治療法です。
水の電気分解によって生じた水素イオンが発汗を抑制します。
週一回の治療を10回ほど集中的に行い、5回目ごろから効果が表れます。継続する必要がありますが、一回あたりの治療費は安価です。
米国では自宅でイオントフォレーシスが可能な機器も販売されています。
手足のエクリン腺の汗のみに効果があります。
交感神経遮断術 手の多汗症に 効果は4~5年持続
■手の多汗症に有効
■効果は4~5年間持続
■費用は6万円ほど(高額療養費制度の利用と3割負担保険適用を併用した場合)
胸の上部にある、手の発汗の指令を伝達する交感神経をクリップで遮断する治療法です。
クリップはチタン製で大きさは5mmほど。この処置には入院が必要です。
交感神経を切断してしまうよりも、代償性発汗(体の他の部分から発汗してしまう現象)のリスクが低いため、遮断でとどめる治療法。
クリップは外すことも可能です。
ミラドライ 多汗・わきが対策に効果 4~5年持続
■効果は年単位で持続
■エクリン腺・アポクリン腺を熱により破壊する
■多汗・わきがの両方に効果的
■費用は50万円ほど
■局所麻酔の後、片側あたり50~30分の治療
電子レンジで使われているマイクロ波を照射し、エクリン腺とアポクリン腺の機能を消失させます。
治療後は1週間ほど腫れが残る場合があります。